こんにちは、FUKU+REです。
ポンカン、ボンタン(文旦)、サワーポメロ、金柑・・・温暖な気候の南国鹿児島ではさまざまな柑橘が栽培されています。そんな柑橘溢れる鹿児島で「鹿児島のみかんといえば?」と聞かれると、鹿児島県民はこう答えるのではないでしょうか。
「桜島小みかん」
今日は桜島小みかんの”小話”とふくれ菓子の紹介です。
目次
「桜島小みかん」とは
直径5cmたらず、重さ4~50g。鹿児島が誇る活火山・桜島で育つ、手のひらにすっぽり収まる可愛らしい「桜島小みかん」。
柔らかくジューシーな果肉と強い甘みに誘われて、「小さいからいいよね!」と、ついつい何個も食べたくなるコロッとかわいい”みかん”です。果肉の美味しさにプラス、皮の香りも高いので薬味に使ったりお風呂のお湯に浮かべたり、丸ごと楽しめます。
鹿児島のホームセンターでは小さな桜島小みかんが1〜2個実った状態の苗木が売られていたり、桜島では店先に飾る光景を見かけたり。
桜島小みかんは”世界一”
桜島小みかんの特徴といえば大きさだけではありません。
1本の木に実る量が異常でして・・・。
これまでの最高記録 24,649個。
「世界一、小さいみかん」であり、「世界一、実るみかん」でもあるのです。
一般的なみかんだと1本600~700個位らしいので、ケタ違いのレベルにただただ驚きですが、
木も収穫前は重さとの戦いで早く収穫してほしくてたまらないでしょうね!肩が凝りそう・・。
桜島小みかんを探して〜2022年秋〜
「世界一 実がなる」といっても、当たり前のようにある日々の桜島の爆発(火山灰の降灰)や生産者の高齢化で年々生産量が減少しているそうで・・・。
昨年は不作も重なり、いつもの農家さんから欠品の連絡があったのは昨年2022年の秋のこと。
日頃食材を届けてもらっている有機生産組合にダメ元で相談してみました。
結果、やはり難しい反応。
1ヶ月ほど経った頃、有機生産組合の担当者から再びの連絡。
「忘れた頃に見つかりました〜!うちの職員が
『他の作物を作っている有機農家さんの畑の隅っこに桜島小みかんが生っていたような覚えが・・・』
と、見つけて連絡をくれました」
と朗報!!!
“もう桜島小みかんを使ったお菓子はつくれなくなるのか・・・”
半ば諦めていたところ、なんという奇跡でしょうか。
お話を伺うと、桜島からは少し離れた大隅半島の方でしたが、有機農家さん。
しかも、放置されていたおかげで果樹では難しいとされる無農薬です。
ちょうど色づいて美味しくなる旬を迎える頃で
「もうちょっとしたら猿がくるから早く収穫しないとね」と。
人間VSアニマル。田舎あるあるです。
美味しくなった頃合いがわかる動物たちは食べ尽くすのも一瞬だそうで。
特に食べ物が手に入りづらいこの時期は動物達からすると、“世界一実のなる桜島小みかん”は良いターゲットでしょう。
農作物に動物との戦いはつきもの。今年フクレが桜島小みかんのお菓子を作れるかの運命は農家さんに託すことに・・・。
猿との戦いは無事、農家さんの勝利!
2本の木から100gキロの果実を収穫し、無事1年分を確保することができました。いろんな人の協力を経てフクレに届いた貴重な桜島小みかん。果肉も香り高い皮も丸ごとグラッセに加工して、大事に使わせていただきます。
桜島小みかんと生姜のふくれ菓子「Ko-mikan(コミカン)」
ふくれ菓子「Ko-mikan」には、桜島小みかんのグラッセにプラスして、生姜のコンフィチュールを合わせました。蒸すことで生地の中に小みかんの香りがグッと引き出され、重曹の懐かしい風味ともよく合います。郷土菓子とは地元の素材を生かす合理的な製法なんだと気付かされたお菓子のひとつです。
人と人のご縁で繋がった2023年の桜島小みかんスイーツ。ぜひ、大切な方へのギフトにご検討いただけたら嬉しいです。
【番外】桜島小みかんのホーム「桜島」について
桜島小みかんのホーム「桜島」。実は2つの火山なのはご存知でしょうか?
のんびり山頂からモクモク〜というイメージがあると思うのですが、2つの火山なので、噴火口も2個。
しかし、実はひとつは噴火活動を終え(北岳)
もうひとつが毎日のように元気に爆発しています(南岳)。
活動を終えた北岳は長年の風雨によって日当たりの良い斜面が作られ、鹿児島の温暖な気候と水はけの良さからみかん栽培に適した場所ができ、「桜島小みかん」の生産が盛んになりました。
その盛んさは薩摩藩が江戸幕府に献上したという記録が残っているくらいで。
しょっちゅう爆発するのにそんな環境直下でなぜ?と思うかもしれません。
実は桜島、昔はおとなしかったみたいで小みかん栽培が栄えた頃は灰は降っていなかった(=噴火活動がなかった)そうです。今のように活発になったのは、まだ7〜80年位前のことだとか・・・。
今年の桜島小みかんとの出会いはFUKU+REのコンセプトにも通づる経験に
病気や天候だけでなく日々の降灰にも気をつけながら作物を育て上げるのはとても大変で、私たちは自然の恵みや農家さんの努力・人のチカラがなければお菓子を作ることができません。
今回、桜島小みかん探しを通じて「今あるものが当たり前ではない」ことを再確認でき、生まれ育った鹿児島・九州の食文化を私たちはお菓子を通じて未来へ繋いでいかなければならないと改めて思いました。